Myエリア設定

保存

過保護の境界線|ともに育つ・育む!

子どもを大切に思う気持ちが強いほど過保護かそうでないかの線引きは難しいところ。 今回は過保護の境界線について公認心理師の佐藤めぐみ先生にお聞きしました。

過保護とは文字通り「過剰に保護すること」

過保護とは読んで字のごとく、親が子どものことを過剰に保護することです。保護は親がするべきことでありながら、それを過ぎてしまった、ということを指します。イメージとしては、繊細な壊れ物を扱うかのように子どもを見ている感覚です。

過保護が及ぼすデメリットとは?

過保護になってしまうと、本来、子ども自身で経験した方がいいことを親が代わりにやってあげていることが多いので、その子が自分で何かをする力に影響を及ぼすと考えられます。いくつか例を挙げてみましょう。

●親が先回りしてやってくれるため、自分で考えて行動することに慣れていない
●面倒なことは親がお膳立てしてくれるので、何でもスイスイできることに慣れてしまい、いざというときの踏ん張る力に欠ける
●親が守ってあげられない場面でも自分で解決できない
●失敗や間違いに弱い
●危険なことに気付けない
●大きくなってから自立のタイミングが遅れる、もしくはできない

「過保護」と「甘えさせること」 大切なのはその線引き

 「過保護」と「甘えさせること」は混同しがちですが、子どもの「甘えたい気持ち」に寄り添うことはむしろ大切です。一方、過保護が良くないということは多くの方が認識していると思います。それにも関わらず過保護傾向になってしまうのは、「過保護」と「甘えさせること」の線引きがそれだけ難しいから。親御さん自身にはそんなつもりはないのに、気付けば過保護になって、それが悩みに発展してしまうケースも。「甘えさせる」とは、子どもが求めてくる愛着行動に対して、親が温かみを持って受け止める姿勢を言います。子どもが「抱っこして」と言ったり親の膝の上に乗って来たりしたときに、その気持ちを満たしてあげることが「甘えさせること」になります。

負の感情を避けたい心が過保護な親へと導く

子どもの負の感情を受け止め、寄り添うことも「甘えさせること」に当たるでしょう。幼いうちは悔しい、悲しい、辛いという気持ちを自分自身でぬぐえないことも多いので、ママやパパに癒してもらうことがほとんどです。こういう寄り添いは子どもの甘えたい気持ちを満たしているということなので、幼児期においては非常に重要です。しかし、過保護になってしまう理由の1つに、「子どもが負の感情を持つことを避けたい」という思いが関係していることが多くあります。子どもの行動に対して、結果がどうなるかを予測して過度に心配してしまい、それを未然に防ごうと、知らず知らずのうちに過保護になってしまう……というパターンです。

現代の子育て環境も過保護に陥りやすい要因に

育児情報がどこでも検索できる現代の生活も、過保護になりやすい要因です。また一人っ子が多いため、物理的に手が回ります。共働き家庭も多いので寂しい思いをさせたくない、一緒に過ごす時間を大切にしたいと思うあまり、過保護になりやすいということも。さらに日本人は諸外国と比べて繊細で細やかな気質を持っています。良い方向に生かせば芸術の域になりますが、細かくて神経質という方向になりがちです。「1つのミスも許されない」という完璧主義的な思考は、子どもへの対応も行き過ぎる傾向になることがあります。

過保護からの脱却で子どもに自主性が身に付く

赤ちゃんが転んだとき、ママが駆け寄って抱きしめてあげるのもいいのですが、その子が自力で立ち上がるのを待って「がんばったね」と褒める方が、その子の体験としての収穫は大きいはず。過保護から抜け出すのは子どもを見放すのではなく、あえて手を差し伸べずに見守り、子ども自身が考えて、決めて、行動する力を付けさせていくことです。心理学では子どもが持つ負の感情すべてが悪とは捉えていません。成長を促すものもたくさんあります。5歳での失敗なら、親が抱きしめて慰めることができます。しかし、25歳での失敗だとそうはいかないことは明らかです。親が一緒にいられる間に、子どもにいろいろな経験をさせてあげましょう!

子どもとふれ合う時間(令和2年)

一緒に過ごせる時間を活用し、 さまざまな経験を通して、 子どもの自主性を 育んでいきいましょう。

※令和2年度文部科学省委託調査「令和2年度 『家庭教育の総合的推進に関する調査研究~家庭教育支援の充実に向けた保護者の意識に関する実態把握調査~』報告書」より作成

教えてくれたのは… 

公認心理師 佐藤 めぐみ 先生

育児相談室「ポジカフェ」運営。専門は0~10歳のお子さん向けの行動改善プログラムや育児ストレスカウンセリング。英・レスター大学大学院修士号取得。「ポジティブ育児研究所」にて子育て心理学講座やママの心のケア「ポジ育クラブ」を実施中。

23 件

この記事を書いた人

まみたん編集部

Recommended