イヤイヤ期が起きるメカニズムとは?
イヤイヤ期とは本来、心が発達した証。「自我」のめばえの時期で、ほとんどの子どもに見られます。自我は、自分が他者(親や周りの人を含む)とは違う主体的な存在だと認識し始めること。自分で何かをやってみたい、自分で決めたい、という表現が「イヤイヤ」となって表われますが、心と脳が発達しているという、成長の証です。
1歳半から4歳頃に起こる イヤイヤ期の特徴は?
年齢だけでは区切れないのが子どもの発達ですが、概ね次のような特徴が挙げられます。
【イヤイヤ期初期/1歳半頃】
言葉でやり取りすることが難しい時期なので、全身で「自分はこれがしたい」と表現するために寝そべって駄々をこねたり、ものを投げたりすることも。いつもニコニコしていた我が子が変わってしまったというように驚かれるかもしれませんが、これは心の成長の兆しです。
【1歳半頃から2歳頃】
言葉で「イヤ」と言ったり、まだできないことを繰り返し「やりたい」と言ったりすることがあります。言葉がわかり始める時期ではありますが、きちんと理解するのは難しいので、やさしく見守ることが必要です。
【2歳頃から3歳頃】
少しずつ言葉でのやり取りが増え、いろいろ理解できるがゆえにイヤイヤが出てくる時期。何を提案しても「イヤだ」と言われることもあるかもしれませんが、話をよく聞き、嫌の理由を丁寧に考えてみましょう。
【3歳頃から4歳頃】
言語が発達してくる時期なので、子どもの嫌なことの傾向がつかみやすくなります。「一緒に考えよう」と提案するなど、何が嫌なのかを言語化するサポートをしてみましょう。まずは子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。

イヤイヤ期の後には反抗期!年齢ごとの特徴と対処法
【中間反抗期】
個人差はありますが概ね6歳から8歳ごろにやってきます。自我の確立に向かうため、親からの干渉を嫌がる傾向が見られます。子どもの思いに寄り添い、成長を見守る時期になります。
【第二次反抗期】
思春期に始まる反抗期は自分自身のアイデンティティの確立のため、青年期に向かう上で大切な成長のステップです。子ども自身の内面の成長とともに、大人の矛盾点や社会課題についての考えなども広がっていきます。
イヤイヤ期の子どもとうまく向き合うコツは?
【感情的にならない】
自分の感情を直接子どもにぶつけないようにかかわることが大切。ほっとできる時間を作ったり、誰かに話を聞いてもらったり、物理的にも気持ち的にも余裕をつくることがとても大事です。ストレスを感じたら一時保育サービスを活用するのもおすすめです。
【イヤイヤを受け止める】
小さな体で一生懸命伝えていることを、まずは受け止めることが大切。子どもが「イヤ!」といったら、「そうか、イヤだったね」と一旦受け止める。ただ、状況に合わせて「今はこうしようね」と繰り返し伝えてください。何度も伝えることで子どもたちも学んでくれます。
【子どもの感情を落ち着かせる】
パニックになってしまったら、声をかけてやさしく抱きしめ、背中をトントンしたり、毛布などでくるんであげたり、お水を飲ませたりするなど、少し場面を切り替える方法もありますが、何より「おだやかな声掛け」が大切。ヒステリックになってしまうと、感情が不安定になり、子どもが泣き続けてしまう可能性も。「大丈夫だよ」とやさしく声をかけられるといいですね。また、イヤイヤの気持ちを代弁してくれるような絵本を一緒に読んでみると、感情に言葉があることも学べます。一緒に安心できる時間を少しでも取って、子どもの「自分でやりたい!」を応援してあげられるようになるといいですね。

拒否のイヤイヤと真逆の「自分でやりたい」イヤイヤ行動
「やりたくない」と「やりたい」、 2つのイヤイヤを受け止め、 子どもと向き合いましょう。

教えてくれたのは…

助産師/チャイルド・ファミリーコンサルタント(CFC)
やまがた てるえ 先生
NPO法人子育て学協会理事。病院勤務後、地域の助産師として15年以上子育て支援に関わりながら、本の出版や講演活動、個別相談などを行っている。
やまがた てるえ 公式ホームページ:母の樹 - 育ち合う家族・母の樹
