パパの育休は取るべき?|ともに育つ・育む!
共働き夫婦の育児支援制度が見直され パパの育休も取りやすくなっています。 新制度も導入されたパパの育休について 特定社会保険労務士の上村先生に伺いました。
産後のママに寄り添う パパ育休の新制度がスタート
「育児休業」は子どもが1歳(最長2歳)の誕生日を迎える前日まで取得することができ、開始希望日の1カ月前までの申し出が必要です。また、ママの産後休業期間に取得できる「産後パパ育休(出生時育児休業)」が令和4年10月に新設されました。休業する2週間前までの申し出で、子どもの出生後8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間以内の期間を定めて休業ができる制度ですが、申出期限は会社により異なるので、人事担当者に確認しましょう。
一定の基準を満たせば 誰でも取得が可能
事業主には労働者が育児休業を容易に取得できるように、就業規則の整備等必要な措置を講ずることが義務とされています。一定の条件を満たせば取得可能ですが、申請できる労働者には次の基準があります。
【育児休業の対象労働者】
◆1歳に満たない子を養育する労働者(日雇い労働者を除く)
◆期間を定めて雇用される場合は、申出時点において、子が1歳6カ月を経過するまでに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない労働者
【産後パパ育休の対象労働者】
◆出生後8週間以内の子を養育する産後休業をしていない労働者(日雇い労働者を除く)
◆期間を定めて雇用される場合は、申出時点において、子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から起算して8週間を経過する日の翌日から6カ月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない労働者
その他、労使協定で対象外にされている場合もあるので会社に確認してみましょう。

早めの申し出で収入ダウンの不安を解消
【給付金の支給】
雇用保険の被保険者は、休業開始前の賃金支払基礎日数や休業期間中の就業日数、賃金の支払額など、一定条件を満たせば、産後パパ育休取得時は「出生時育児休業給付金」、育児休業取得時は「育児休業給付金」を受給可能。支給額は休業開始時賃金の67%(育児休業給付金は休業開始から産後パパ育休を取得した日数も含め6カ月までは67%、6カ月経過後は50%)となり、所得税はかからず、翌年度の住民税算定額にも含まれない。
【税金・社会保険料免除】
育児休業(産後パパ育休を含む)中の月給・賞与に係る社会保険料は月給か賞与かにより免除の仕組みが異なる。月給は、その月の末日が育児休業中であること、もしくは、同一月内で育児休業取得日数が14日以上の場合も労働者・事業主ともに免除対象。賞与は、その月の末日が育児休業中であることに加えて連続して1カ月を超える育児休業を取得した場合に限る(月末を含む育児休業中の月に賞与の支払いがあること)。給与所得がなければ雇用保険料も発生しない。
これらの申請は、労働者からの申し出を受け、事業主がハローワークに申請書など必要書類を提出し、手続きを行うことになります。
金銭面以外に大きなメリットが!
内閣府「男性の子育て目的の休暇取得に関する調査研究」(令和元年)によると、パパが休暇を取得して良かったと思う最大の理由は「子どもの成長を見守ることができた」です。育児の喜びや大変さを実感することが、夫婦でより良い子育てをすることや、復職後に生かせる気付きに繋がるでしょう。

パパが育休を取るときに気を付けるポイントは?
子どもが生まれたら何をするのかを知っておくことが大切です。また、育児休業は2回に分けて取得でき、取得時にそれぞれ申し出ることができますが、産後パパ育休を2回に分ける場合は最初にまとめて申し出る必要があります。休業中の役割分担や育休取得のタイミングなど事前に夫婦で話し合っておきましょう。会社には育休取得の意向を早めに示すことで、業務の引継ぎ等も計画的に行えます。在職証明書の発行など保育園に預ける際に必要な手続きもスムーズに行えます。
育児休業取得率の変化・取得期間
給付金や税金の免除などメリットを学んで、育休の有効活用方法を探っていきましょう。

教えてくれたのは…

社会保険労務士法人小林労務 代表取締役社長
特定社会保険労務士 上村 美由紀 先生
2004年11月「社会保険労務士」の資格を取得し、2005年9月 現・社会保険労務士法人小林労務に入社。2014年5月 株式会社小林労務代表取締役社長に就任。2023年現在、従業員は45名、営業拠点を東京・大阪・埼玉・沖縄に構えている。