結果だけを見ずに達成までの過程をほめて
昨日までできなかったことができるようになった時には、結果だけではなく、「何回も挑戦したから、できるようになったんだね」と、頑張ったことと挑戦したことで達成できたという「過程」をほめましょう。他の子どもとではなく、本人の「過去」と比較して、何ができるようになったのかをほめることが大切です。また「パパがあなたの頑張りをほめていたよ」と第三者の意見として伝えることも効果的です。
子どもをほめることで伸ばせる能力とは?
何度も挑戦して頑張ったこと、努力したことをほめられることで、失敗しても頑張れる子どもになります。結果を出すためには、失敗してもやり続けるという過程が大事だということが学べ、それが「グリット=やり抜く力」にもなります。また、自分がほめられることは、相手を喜ばせることだということがわかり、人はどうしたら喜んでくれるのかを考えて行動できるようになるので、将来的に仕事の成果にもつながります。

子どもを責める前に気持ちを理解すること
叱らなければいけないシーンは、身の危険がある場合がほとんどです。例えばおもちゃを取りあっている場合、「なぜおもちゃを取ったのか」を考えましょう。大抵はおもちゃで遊んでいるのが魅力的に見えているから「楽しそう」、「私もほしい」となることがほとんどなので、「遊んでみたかったんだね」と共感しながら、「お友達が使い終わったら、貸してもらおうね」と言って、別のおもちゃや遊びで気を紛らせながら待たせます。待つことができたら、すかさず「ちゃんと待つことができたね」と言葉をかけてあげると、次も待てるようになります。お子さんの気持ちを理解し、「あなたのことをわかっている」ということを言葉にして伝えることが大事。人は1人でも誰かに自分の気持ちをわかってもらえていると感じることができれば、心が穏やかになり自制心もコントロールできるようになります。
【きょうだいの場合】
きょうだいの場合は、お互いに嫉妬している場合が多いので、年上・年下は関係なく、一対一で関わるなどの配慮が必要です。上の子が下の子のおもちゃを取ってしまうのは「弟や妹だけでなく、自分のことも大事にしてほしい」というメッセージです。おもちゃを取ったことだけを責めずに、子どもの気持ちに寄り添うことを忘れないでください。
ほめすぎ、叱りすぎで 成長に及ぼす影響は?
【ほめすぎた場合】
ほめられることが目的になると、人の顔色を伺うようになります。また結果を出さなければ認めてもらえないと思い、結果が出ないことや、結果を出すことさえも怖くなり、新しいことにチャレンジできなくなります。結果はどうであれ、「頑張っていることが素晴らしい!」「失敗してもOK!」と子どもに感じ取ってもらえるよう、言葉をかけてあげてください。
【叱りすぎた場合】
言動にダメ出しをしたり、人格を否定するような言葉をかけたりすると、自分の考えや行動に自信が持てなくなります。また、自己肯定感が低下し、自分の気持ちを伝えることに臆病になり、本来の力を発揮できなくなることもあるので注意が必要です。子どもがやってしまったことだけを叱っても根本が解決せず、同じ過ちを繰り返してしまいます。子どもの言動や行動には必ず意味があります。「どうしてそんなことを言ったのか」「何をしたかったのか」を聞き、子どもの気持ちを汲み取ったあとに、「じゃあどうするの?」と次に何をするべきか考える時間をしっかり取りましょう。子ども自身が本当はどうしたかったのかを自覚でき、目的達成のために何をすべきなのかを考えるようになります。

子どもにイラっとしたときの対処法
自分を責めずに イライラの理由を考えて、 気持ちを鎮める方法を 見つけましょう

教えてくれたのは…

乳幼児教育専門家
伊藤美佳 先生
子どもの個性を発揮させて最大限に伸ばす育児法を、子育て講座を通して伝え、インストラクターを800名輩出。幼稚園・保育園の教育コンサルタントとして、教員の人材育成や現代の子どもの発達に合わせた教育アブローチ術を指導。