「子どもファースト」の考え方で 人格形成も含めた総合的な子育て支援を実現
愛着の持てるふるさと宇治を 次世代へと繋げていきたい
子どもの健やかな成長への支援、安心して学べる学校教育環境の充実など、切れ目のない総合的な子育て支援に取り組んでいる宇治市。
子どもが中心であるという「子どもファースト」の考え方で、子育てしやすい街づくりを目指している山本正市長に、宇治市で子育てすることの魅力を聞いた。
「今年度中に、子育て医療費の実質無料化を中学卒業まで拡大します。また、4年連続待機児童ゼロを実現していますが、来年度も対策を打ち出すとともに、保育の質が下がらないよう、事前の審査を厳しくするなど、しっかりと見ていきたいと思っています」
昨年度から、有料広告掲載で費用を賄った子育て情報誌のフルカラー化。
今年度からは、妊娠歯科健診事業を開始。他にも、ラインでの子育て相談や保育所の空き状況をはじめとする情報発信など、新しい取り組みも多く行っている。「いずれにしても、ただお金をかければいいというものではなく、心の通った、実のある支援をしてこそ。そうでないものは統廃合するなど、変える勇気も必要だと私自身は考えています」
宇治市は、世界遺産の平等院鳳凰堂や宇治上神社をはじめ、数々の重要文化財があり、日本三古橋のひとつである宇治橋からの宇治川の景観、鎌倉時代に伝えられたとされる宇治茶など、自然、歴史、文化の香る街。このような環境も、子どもが育つ上で大きな関わりがあると山本市長は語る。
「子育てというのは、夫婦や家族、地域社会などで協力すれば、ある程度は理想の形に近づけることができますが、歴史や自然、文化は、努力だけでは得られるものではありません。このような恵まれた環境にある宇治という街を、皆で磨いて、次の世代へと繋げていくことも私達の役割のひとつ。子どもたちが、自分たちの住む地域がいかに素晴らしいかを知り、ふるさと宇治に愛着を持つということがとても大切だと思っています。これから日本だけでなく世界へ羽ばたいていく彼らに、外へ出て行ってからも、ふるさと宇治はいい地域だと実感してもらえたら、何よりもうれしいことですね」
子どもに寄り添うことのできる 地域社会の形成を目指す
宇治愛を育む取り組みの一環として、市では全国に先駆けて、小中学校の総合学習で用いる副読本を作成、探求的な学びを進めている。
「小学3年生では、宇治茶に重点を置き、ボランティアのお茶の先生などを招いて、全ての小学校の生徒がお茶を習います。お茶には礼儀作法や、マナーなどが学べるという要素もありますよね。お茶を通じて、人間を磨くことにも繋がります。学力を上げるのも大事なことではありますが、こういった、品格のある人格形成も含め、総合的に子育て支援ができてこそ、地方自治体として役割を果たしていると言えるのではないかと思っています」
現在、長男のご家族と同居しているという市長。
お孫さんとの関わりを通じて、子どもに寄り添うことの大切さを実感する毎日なのだとか。
「良かれと思ってしたことが裏目に出ることもあって。子育てというのは、世話をするというより、寄り添うことなんだと痛感しました。それだけでも人間関係は出来るものなんだと。子育て支援も、政策だけではなく、私も含めて地域社会全体が、子どもは宝であるという、『子どもファースト』の考えを持って、子どもたちに接していくことが何より大事だと思います」