風邪をひきやすい幼児期 有効な感染防止策は?
ウイルスは粘膜から感染するので、手洗い・うがいが有効ですが、自分でできないお子さんは、ブクブクと口をゆすぐだけでも効果があります。
カテキンの殺菌効果が期待できる緑茶でゆすぐのがおすすめ。
外出先での手洗いも積極的にサポートしてあげましょう。また、普段から免疫を高めておくことも大切です。
まずは睡眠。最近は遅くまで起きている子どもも増えていますが、幼児期は毎日 時間位、睡眠を取るのが理想です。就寝時は腹巻きを着用して冷え対策を。
そして湯船に浸かると、体の芯から温まって免疫力が上がります。さらに鼻・喉・気管支など、気道にある繊毛細胞の動きが活発化し、粘液と一緒にウイルスを押し出してくれます。縄跳びや鬼ごっこ、フラフープ、トランポリンなど、適度な運動も免疫力アップに効果的。親子で踊ったりテレビゲームをしたり、楽しみながら一緒に体を動かすのもいいですね。
好き嫌いがあって大丈夫! 食べられるものでバランスを
免疫力を高めるには食事も重要です。
かぼちゃやにんじんなどに多く含まれるβカロテンは、体中でビタミンAに変わります。繊毛細胞の粘膜には、さまざまなウイルスから体を守る「IgA抗体」という免疫物質があり、この抗体を体内に維持するためにはビタミンAが必要だと言われています。野菜は味噌汁に入れると食べやすくなりますし、味噌は発酵食品なので腸内環境も整います。
好き嫌いがある子どもも多いですが、酸味や苦みは後から学んでいく味覚なので、食べ物の好みは成長とともに変化します。野菜が食べられない場合は、わかめで食物繊維、キノコ類や青魚、鮭、サバでビタミンDが摂取でき、さらなる免疫力アップにつながります。ふりかけや野菜ジュースなど、子どもが好む食べ方で栄養を補うことが大切です。
集団生活での感染予防 心掛けるポイントは?
体が冷えると免疫力が下がるので、肌着を着させて体温を保ちましょう。
コロナ以降、人との関わりが希薄になり、夏にインフルエンザが流行するなど、免疫力が落ちていると言われています。子どもは人と関わりながら、さまざまなウイルスにかかることで免疫がつくられていきます。あまり神経質にならなくて大丈夫です。
家庭内感染の拡大防止に 有効な対処法は?
食事は大皿ではなく1人ずつワンプレートに盛りつけて。タオル類も個別に使いましょう。
ドアノブなどは除菌シートやスプレーでこまめに消毒を。就寝時は、できるだけ健常者とは別の部屋で寝る方がいいですね。感染者本人がマスクをすることも大事です。
1時間に1回は換気を心がけ、空気清浄機も活用しましょう。また、空気が乾燥する季節は加湿器を使ったり、濡れたバスタオルなどを室内で干したりして、室内の湿度を50~60%に保って。家族内の感染を防ぐために最低限の方法を覚えておきましょう。
それでも風邪はひくもの。 悪化させないことが大事!
子どもに風邪の予兆が見られたら早めに寝かせて、温かいものを食べさせてください。
そして葛根湯などの漢方を飲ませるとよいでしょう。一度風邪をひくと、次にかかったときに戦える準備として、免疫がつきます。また、気になることがあれば早めに小児科を受診してください。
解熱剤は熱でウイルスと戦おうとしている力を弱らせてしまうので、高熱が出てつらそうな時に使うのが効果的です。子どもが風邪をひくのは、仕方がないことです。
適切に対処して重症化させないように心がけてください。
教えてくれたのは…
石原内科クリニック院長(断食施設内)
イシハラクリニック副院長
石原 新菜 さん
クリニックで漢方薬処方を中心とする診療を行うかたわら、メディアへの出演や、執筆、講演活動なども積極的に行う。女性視点からのアドバイスも定評。著書は『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)ほか、約40冊。2児の母