ともに育つ・育む|将来に備える 子どもの教育費
子どもの将来のためにお金をきちんと準備することは親の義務でもあります。 どうやって貯めたらいいの? と不安になるママのために、貯金方法や学費の目安ついて ファイナンシャルプランナーの大竹のり子さんにお聞きしました。
Q.教育資金準備はいつから 始めるべき?
早ければ早いほどいいですね。
教育費は、あらかじめ使う時期がわかっているという点で資金を貯めやすいので、子どもが生まれたらすぐに、あるいはできる限り小さい頃から始めると、毎月の負担がそこまで大きくならずに貯蓄できます。
ただ、最近は0~1歳ごろから通信教育を行うご家庭も多くなり、もし学校関係以外に習い事や塾を始めるのであれば、別途の教育費用が必要です。
塾もケースバイケースですが、中学受験に取り組むなら、小学校3年の2月から通うのが一般的。
総額では200~300万円がひとつの目安ですが、必ずしもこれだけの費用がかかるというわけではありませんので、まずはご家庭でよく話し合い、教育方針を決める
ことから始めるのがよいと思います。
Q.どんな準備方法があるの?
●保険商品
学資保険の活用がもっとも主流で、大学に進学すると満期金が下り、高校進学の際にもお祝い金や進学支援金などが支給される保険が増えてきています。
メリットは自動積立で貯蓄できるため、手間をかけずに教育費がしっかり準備でき
ること。
しかし、それほど資金が増えるわけではないというデメリットもあります。
学資保険を選ぶのであれば、できるだけシンプルで貯蓄性(返戻率)の高いものをおすすめします。
もし子どもの医療保障を追加するかお悩みなら、自治体の医療費助成などがあればなくてもかまわないでしょう。
●投資信託
最近では投資信託を活用するジュニアNISAが注目されています。
最大のメリットは投資した年から5年間(年間80万円まで)は非課税で資産運用ができるということ。
通常であれば20%程度の税金がかかりますが、その税コストをゼロにできます。ただし、18歳になるまでは原則として引き出しができず、引き出した場合には過去に遡って課税されるので注意が必要です。
●祖父母からの贈与
祖父母からの贈与を視野に入れるのであれば、1500万円までの教育資金を一括贈与することで非課税となる、一括贈与制度もあります。
この制度は相続税の節税対策に効果が期待できますが、一旦贈与をしてしまうと取り消すことはできず、30歳までに使い切れなかった分についてはその時点で贈与
税がかかるので、きちんと考えて利用しましょう。
Q.貯金が苦手でも効率的に 教育費の準備をするには?
定期預金をしても何かあるとついつい引き出してしまう…という人は、保険を活用するなど「取り崩しにくい」方法を選びましょう。
ジュニアNISAは、保険に比べて資金が大きく増える可能性があるのが魅力ですが、値動きがあるので進学時期に増えるとは限らないというリスクがあります。
もしも500万円を準備するとしたら、300万円は保険を活用してしっかりと貯蓄し、残りの200万円をジュニアNISAで投資信託の積立をして資金を増やすなど、バランスをとった方が良いでしょう。そのほか児童手当をそれぞれの子ども
名義の口座に貯めるという方法もいいと思います。
Q.上手に備えるための アドバイスを教えて。
「教育費は聖域」と言われます。
子どものためなら…とついつい無理をしてでも出したくなってしまうのが親心。
でも、小さい頃からがんばって教育にお金をかけすぎた結果、大学の進学費用が準備できずに奨学金を借りなければならなくなった、自分たちの老後の生活資金の
準備ができていない…というのでは、のちのちのライフプランに与えるダ
メージが大きくなってしまいます。
ですから、どこにいくらまでお金をかけ、どこは我慢をするのかといった取捨選択がとても大事。子どもにどう成長してほしいか、どんなところを伸ばしてあげたいかをしっかり考えたうえでメリハリのある使い方、貯め方をしていくのがポイントです。
学費の目安を知ろう!(公立・私立別)
ポイント
●左記の学費以外にも、通学費や習い事、部活にかかる費用など見落としやすいところにもお金がかかるので気をつけよう。
●大学では文系か理系によって、かかる費用に差がある。進路に合わせて考え、早いうちから準備することが大切。
●教育方針により必要資金は大きく異なるので、それぞれのライフプランに合わせてまずは計算することから始めよう!
教えてくれたのは...
一般社団法人金融学習協会理事。金融専門書籍の編集者を経て「エフピーウーマン」を設立。
現在、雑誌、講演、テレビ・ラジオ出演を通じてお金について学ぶことの大切さを伝えている。
『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)など著書・監修書は約50冊。小学生を対象に、ボードゲームを通じて親子でお金の使い方を学ぶ「ハピプロスクール」を開催中。