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子どもがペットと暮らすメリット|ともに育つ・育む!

動物が好きな子は多いですよね。 ペットと共に生活することで 子どもはどう成長するのでしょうか? 中島由佳先生にお聞きしました。

子どもの心を育てる ペットとの暮らし

 ペットと暮らすことは、子どもの心の成長にさまざまな影響を与えます。動物を子どもの話し相手や遊び相手として迎える家庭も多いのですが、実際に飼ってみると「心豊かに育っている」「表情が明るくなった」「家族との会話が増えた」など、良い変化が見られます。心理学の調査では、動物を飼うことで、幼い子や弱っている人を大切に思う「養護性」や、人への共感性、思いやる心が育ち、また、お世話や体調の気遣いを通して、責任感が養われることも報告されています。

愛着という絆から 生まれるやさしさ

 ペットの飼育は子どもの情操教育に良いといわれますが、人と動物との関係に関する研究では、「ただ単に動物を飼えばやさしい子に育つ」というわけではないことがわかってきました。
 重要なのは、動物への愛着、つまり絆。親子や友達との絆と同じように、人と動物の間にも「好き」「大切にしたい」という気持ちから絆、つまり愛着が生まれるといわれています。実際、動物を飼っていても、愛着を抱いている子とそうでない子とでは、人への共感性や思いやりに差があることが報告されています。
 また、ペットがいると家族の会話が増えたり、ケンカをしてもペットをきっかけに仲直りできたりするなど、家庭の輪をつなぐ役割も果たします。

ペットとの暮らし方を 家族で話し合おう

 ペットを迎える前に、どんな種類の動物がいて、どんな動物と暮らしたいのか、家で飼うことができるか、お世話の大変さはどうかなどを家族で話し合ってみてください。出会ったときの「かわいい」という第一印象が一緒に暮らすうちに「愛着」へと育っていくよう、一時の感情だけで飽きてしまわないよう、関心を持った動物について一緒に調べ、興味を抱かせることが大切です。ペットの個性によって、付き合い方もさまざまです。すぐに気が合うこともあれば、時間をかけて絆が育つこともあります。
 一緒に楽しく過ごしながら関係を築き、仲を深めていきましょう。

ペットとの暮らしを 無理なく始めるために

 初めて迎えるペットですが、哺乳類や鳥類ならば触れ合いながら体温を感じることができ、一緒に遊んだりお世話をしたりするうちに、自然と絆が深まります。また、家族に動物アレルギーがないかを確認しておくことも大切です。どうしても飼いたい動物がいる場合、アレルギーの程度によりますが、触れ合い方を工夫すれば一緒に暮らせることもあります。まずは獣医師さんに相談してみましょう。

親子で一緒に ペットの世話を楽しむ

 ペットのお世話をするときは、子どもに「やらせる」のではなく、親も一緒に楽しみながらお世話しましょう。親がペットに愛着を持って関わる姿は、きっと子どもに伝わります。抱っこしたり、遊んだり、ごはんをあげたり、一緒にお世話をすることで、「何をうれしいと感じるか」「どんなことが苦手か」を知り、他者を思いやる力が育っていきます。そして,ある程度お世話を任せていくことによって、子どもの中に「命への責任」も育っていきます。

ペットはあくまでも 家族の一員

 孤独や寂しさを埋めるためにペットを唯一の愛情の対象とし依存してしまうことは、健全な形ではないといえます。まずは普段の生活の中で親が子どもとの絆を築き、そのうえでペットのお世話をして、心をつなげていくことが大事です。そうすることで、子どもは思いやりを学ぶことができます。ペットはあくまでも「家族の一員」。その関係こそが子どもの健やかな成長につながります。

教えてくれたのは...

大手前大学 現代社会学部教授
中島 由佳 先生

シカゴ大学大学院人文学修士課程修了。お茶の水女子大学大学院で博士(人文科学)を取得。内閣府日本学術会議上席学術調査員を経て、2013年より現職。学校での動物飼育が子どもの心の発達に及ぼす影響を研究する第一人者。

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この記事を書いた人

まみたん編集部

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