気になる症状は5種類 我が子のタイプは?
・反対咬合(はんたいこうごう)
下の歯が上の歯よりも前に出ている、受け口の状態。幼児期はわざと下あごを突き出す子もいるので、4歳頃になると判別しやすい。
・過蓋咬合(かがいこうごう)
上の歯が覆いかぶさり、下の歯が隠れて見えなくなる状態。かみしめる力が強いことが原因。
・開咬(かいこう)
奥歯はかみ合っているのに上下の前歯が当たらずかみ合わない状態。舌を突き出すクセのある子に見られる症状。
・叢生(そうせい)
前歯が前後に重なり合ってガタガタになっている歯並び。
・上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上の前歯が前に出ている。いわゆる出っ歯の状態。

悪いクセや習慣も歯並びの悪さの要因に
子どもの歯並びが悪くなる要因は2つあります。ママやパパに骨格が似るのが先天的要因です。注意したいのは後天的要因。日頃の習慣やクセによって、歯並びは崩れていきます。例えば、授業中に頬杖をついていると歯が押されて内側に倒れる原因に。就寝時に同じ向きで寝ると頭の重さであごの幅が狭くなることもあります。
また、舌は常に上あごに付けておくことが大切。飲み込む(嚥下)時に舌を上げておかないと、頬の圧力に抵抗できないため、あごの幅が狭くなってしまいます。嚥下動作は毎日1000回ほどしていると言われていて、毎日それだけ外側から圧がかかると、どんどんあごの幅は狭くなります。

受け口とガタガタの歯並び、 矯正の時期と治療法は?
まだ乳歯だから大丈夫、と思わずに反対咬合は幼児期の歯科受診後、叢生は3年生までに矯正をスタートすると良いでしょう。
●反対咬合(受け口)
「受け口」かなと思った時点、4・5歳頃に一度受診し、幼稚園〜小学校低学年のうちに治療を始めるのがベター。上あごと下あごの成長スピードには差異があり、上あごの成長が先で、小学校3・4年生頃にピークを迎えます。受け口のまま過ごすと上の歯が下の歯にロックされた状態になり、上あごの成長が抑制されてしまいます。
【矯正方法】
マウスピース型の矯正装置を使用。前歯の逆被蓋の度合いが浅いと1週間程度で済むこともあるが、かみ込みが深いと数か月〜半年以上かかる場合も。

●叢生(ガタガタの歯並び)
あごの幅が狭く、歯がきれいに並ぶスペースが足りず、ガタガタになっている場合は、小学校2・3年生頃に、あごの成長を上手に利用して矯正を行うのが良いとされています。
【矯正方法】
「拡大床」という装置を使い、約半年ほどあごの幅を広げる矯正を行う。体の成長を利用して行うため、子どもへの負担が少ない。

歯並びの悪さが全身の健康リスクに
受け口や開咬での8020(80歳で20本歯が残っている)達成率はなんと0%。歯並びが悪いと、特定の歯に負担がかかってしまうため、むし歯や歯周病以外に、歯を失うリスクが高くなります。歯を失うと食事がとれなくなるため、生活の質が下がったり、全身の健康状態にも悪影響を及ぼします。
子どものうちの矯正が大きなメリットに
子どもの矯正は環境改善がメインです。悪いクセがあればそれを取り除くことで、歯並びの悪化を防げます。また、子どもの矯正にはあごの成長を利用できるため、矯正期間の短縮、抜歯や外科手術による矯正率低下などのメリットがあります。ただし、どうしても子どもが嫌がる場合は無理をせず、大人になってから行うことも可能。子どもやご家庭に負担の少ない方法・ペースを検討しましょう。

教えてくれたのは…

TASK歯科・矯正歯科
院長 中田 佑 先生
愛知学院大学歯学部卒業後、2023年、大阪・河内長野市に「TASK歯科・矯正歯科」を開院。長男の受け口の治療・改善の過程を載せたInstagram動画が60万回再生を記録。受け口や歯並びに悩む親御さんにInstagramで情報を発信中。3児の父。