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ともに育つ・育む|野菜嫌いを なくすには?

子育て中の悩みとして挙げられるのが子どもの野菜嫌い。 しかし、健康や成長を考えるとしっかり食べて欲しい。 そう願うママのために、苦手な原因や克服方法について管理栄養士の西本裕紀子さんにお話を伺いしました。

Q.子どもの野菜嫌いに 多い原因は?

Free photo: Vegetables, Vegetable Basket - Free Image on Pixabay - 752153 (4571)

好き嫌いの大きな要素は味覚と食感と環境です。味覚を感じる味蕾は胎児期後期から乳児期にかけて最も多く、その後は加齢とともに退化し分布範囲や数が減少します。そのため、子どもは大人よりも味覚が敏感で、大人が食べても気にならない野菜のわずかな苦味なども感じてしまうのです。
また、咀嚼力を要するもの(硬いもの)も子どもには好まれません。食べるためには、口裂周囲の表情筋や舌筋が使われるのですが、子どもは筋力がまだ弱く、硬い野菜を噛み続けると疲労しやすいことも野菜嫌いの一因になるからです。さらに野菜を食べるためには、野菜を食べやすく調理し、工夫して食べさせてくれる家庭環境が必要です。家族の誰かが野菜嫌いの場合、食卓に野菜が並ぶことが少なくなります。そうすると食べる経験を積み重ねることができず、野菜嫌いになってしまいます。

Q.野菜不足によって どんな影響があるの?

野菜に含まれるビタミンやミネラルは、成長に必要なたんぱく質や活動のエネルギー源となる炭水化物、脂肪を体内で代謝するときの補酵素として重要な働きがあります。どの栄養素も単独では働かず相互に作用するため、ビタミンやミネラルが不足すると、うまくエネルギーが作れなかったり、体を作るためのたんぱく質の働きが不十分になり成長障害が生じたり、特有の欠乏症を引き起こす可能性もあります。また、野菜に含まれる鉄やカルシウムは骨や血の材料にもなるので、成長期の子どもにとっては重要なのです。

Q.野菜嫌いの子どもと 上手に付き合うには?

子どもは同じ野菜でも、調理法によって食べたり食べなかったりするものです。ごろごろ乱切りにしたごぼうや人参は食べなくても、ささがきのように細く切れば食べたり、生野菜は食べなくても、同じ野菜を汁物に入れれば食べるなど。つまり、苦味が苦手なら、味付けを工夫する。硬いものが苦手なら、切り方や火の通し方を工夫するということです。子どもの好きな料理に混ぜる、味付けを子どもの好みに合わせる、小さく切る、量を多くしない、煮炊きものはやわらかめに調理する、逆にキュウリやニンジンなどを細くスティック状にカットして手で持ってポリポリ食べるなど、目先を変えた演出なども功を奏することがあります。

Q.野菜嫌いを 克服するためには?

克服する方法として、すりおろしたり、みじん切りにして、ハンバーグやスクランブルエッグ、炊き込みご飯やシチューなどに混ぜるといったことも食べやすくなる工夫の1つですが、知らないうちに食べるのではなく、できれば子どもに、こんな野菜を食べることができているということを意識させ、褒めて自信を持たせることも必要です。お気に入りの食具や食器を使ったり、楽しく盛り付けたりといった演出もおすすめです。また、子どもと一緒に料理をすることで、作ったものは食べようとしたりします。そして、家族と一緒に食べること、家族が美味しそうにいろいろなものを食べる姿を毎日3食自然に見せていくこと、食卓の雰囲気を楽しくすることが大切です。

Free photo: Breakfast, Dinner, Egg, Food, Fresh - Free Image on Pixabay - 21707 (4572)

教えてくれたのは…

地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 
栄養管理室副室長 管理栄養士・博士(保健学) 西本裕紀子 さん

1986年に大阪府立母子保健総合医療センター栄養管理室に入職し現在に至る。(2017年度から現病院名に変更)2011年第33回母子保健奨励賞(母子保健功労賞顕彰会)、2011年毎日新聞社賞受賞、著書に「こどもの心と体の成長・発達によい食事、こども病院の医師と栄養士による食育レシピ、Ⅰ妊娠期・乳児期 Ⅱ幼児期 Ⅲ学童期・思春期」などがある。

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この記事を書いた人

まみたん編集部

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