一人っ子・兄弟姉妹の 育て方、関わり方|ともに育つ・育む
一人っ子はかまいすぎないほうがいい? きょうだいゲンカの受け止め方は? 一人っ子と兄弟姉妹の育て方、関わり方を家庭教育専門家の田宮先生に伺いました。
一人っ子の自立心を育める関わり方は?
一人っ子の場合、遊び相手がいないから「かまってあげなくては」と思うことでしょう。ですが、子育て中の親は多忙で、子どもにばかりかまってはいられませんよね。「一人っ子だから自立心が育ちにくい」ということは決してありません。幼い子どもは生きることのすべてを親に頼っていますが、そのうちに「自分一人でやってみたい」という意欲が起こります。子どもの自立心を育むには、この意欲を尊重してあげることが大切。日ごろから親子の信頼関係を築き、いろいろなことに興味や関心を持たせるような声かけをしましょう。そして、子どもが失敗しても「今度はきっとうまくいくよ」と挑戦したことを褒めてあげてください。その積み重ねにより子どもは安心感を抱き、「今は忙しいから後で遊ぼうね」という言葉も受け入れてくれるようになるでしょう。
一人っ子にはメリットがたくさん!
一人っ子はわがままとか、自己中心的などという意見を耳にすることがあるかもしれませんが、はたしてそうでしょうか。一人っ子にもたくさんのメリットがあります。まず親の目が行き届くため、子どもの様子や友人関係も把握しやすく、学習状況も見てあげられます。親との関わりが深くなることで、子どもも親の愛情をしっかり感じながら育つことができるでしょう。また1人でいる時間が長いことで、想像力が養われたり、ゆっくりと時間をかけて思考する習慣がついたりします。家の中では何事も1人で取り組むことが多いため責任感も強くなります。
きょうだい仲良くしてもらうため親が気を付けることは?
きょうだい仲良くするには、親の姿勢がとても大切。子どもが平等に愛されていると感じられるように接し、そして周りの人にも思いやりを持った言動を心がけましょう。子どもが影響を受けるのは、基本的に親の言動です。家族全員で一緒に居る時間を増やし、和気あいあいとした会話を楽しむ、みんなで何かを達成するなどの経験の積み重ねにより、きょうだいは仲良くなっていくことでしょう。
ケンカの時は上の子が損をしないような声かけを
ケンカの時はつい上の子に我慢をさせがちですが、頭ごなしに「お兄ちゃん(お姉ちゃん)でしょ」と言ってしまっては、上の子は不満が溜まる一方。まずはなぜケンカになったのか、お互いの話を充分に聞いてあげましょう。上の子が「せっかく作った積み木のお城を弟が壊した」と言ったら、下の子の「お兄ちゃんが積み木を貸してくれない」という言い分も聞いてあげましょう。そして上の子には「せっかく作ったのに壊されたら悔しいよね」、下の子には「お兄ちゃんと一緒に遊びたいね」と気持ちを受け止めてあげてください。「あなたも小さい頃はこうだったのよ」「お兄ちゃんが一生懸命しているんだから、待ってあげてね」などと声をかければ、お互いの気持ちも落ち着いていくはずです。
下の子が上の子のすることをマネしたがる時の対処法は?
下の子は何事もデビューが早くなります。知らないうちにできるようになっていてびっくりすることもあるでしょう。ですが、お菓子やゲームに触れるのはなるべく遅くしたいもの。下の子の「やりたい気持ち」を抑圧しないように、上の子には「弟や妹にはチョコレートはまだ早いから、お昼寝している時に食べようね。早く一緒に食べたいね」など声をかけてあげればよいでしょう。
きょうだいがいることの一番のメリットは?
きょうだいがいると、そこには社会ができます。その中で意見の相違や、折り合いをつけること、我慢すること、思いやること、譲りあうこと、分け合うことなどが体験できます。さまざまな体験の中で学びを期待できることが、きょうだいで育つことの一番のメリットかもしれません
1世帯あたりの児童数
子どもがいる世帯の平均児童数は1.69人。
世帯人員数の減少により、一人っ子が増加しています。
教えてくれたのは…
家庭教育専門家 Allabout子育てガイド 田宮由美 先生
日本子育て学会所属。小学校教諭・幼稚園教諭・保育士の資格を持ち、これまで幼児教室、幼稚園、小学校での勤務、公的ボランティアを経て、現在は執筆、講演を中心に活動中。著書に「子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方」(KADOKAWA出版)がある。