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必要以上に 不安に ならないで!「小1の壁」を 乗り越えるために|ともに育つ・育む

小学校入学を前に、働く保護者が直面する「小1の壁」問題。 どのような心構えや準備が必要なのでしょうか? 先輩ママでもあり、認可保育園園長でもある河合先生に伺いました。

「小1の壁」とは?

小学生になると子どもの生活リズムが大きく変化するため、共働きやひとり親家庭では、仕事と子育ての両立が難しくなります。「小1の壁」と呼ばれるこの問題が近年クローズアップされるようになりました。なぜ「小1の壁」問題は起こってしまうのでしょうか。
保護者が働いている場合、放課後は放課後児童クラブや学童保育を利用することになりますが、その運営時間が保育園よりも短くなることが主な要因です。
保育園では延長保育が利用できることが多く、遅い時間まで子どもを預けることができますが、公的な学童保育などでは18時までで終わる施設が多いため、保護者の就労時間が遅い場合は、学童から帰宅した後も一定時間、子どもが一人で過ごさなければなりません。
まだまだ精神的にも未熟な小学校低学年の頃は、安全面でも心配が尽きません。そのため保護者自身が働き方を変えたり、より安心な預け先や習い事などを探したりと、放課後の時間を何とか乗り切る方法を考えざるを得ない状況に直面してしまうのです。私自身も、祖母にお願いしたり学童保育を利用したりしながらなんとか乗り切ったのを覚えています。

どうしたら乗り越えられる?

「小1の壁」はほかにもこんなときに現れます。

◆子ども

●保護者の帰宅まで一人で過ごす不安
●宿題やおやつなどスケジュールの自己管理が難しい
●授業参観など保護者が仕事で参加できない場合、寂しさを感じる
●放課後も集団生活をするため、疲れを感じ不安定になることもる

◆保護者

●長期休業日(夏休み、冬休みなど)の前後は給食がない期間があり、お昼には帰宅するため、子どもの昼食(お弁当)を用意する必要がある
●平日に実施される行事が多い(保護者会、PTAなど)
●そもそも学童保育が定員いっぱいで入れない
●企業によっては、小学生以降は時短勤務が利用できなくなることも
●インフルエンザなどの感染症で学級閉鎖が起こると急な預け先がない
●子どもの友達関係や行動範囲が広がり、見えづらくなる
●宿題を見てあげる時間も心の余裕もない
●学童から自宅に帰るまで、帰宅後の安全面、精神面が心配

「小学校って大変そう」と不安になってしまう方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。学校行事も楽しく、成長著しい時期。子どもと一緒に楽しく前向きに学童期を過ごしたいものです。

大切なのは 「SOS」を発信できる力

私が園長を務める認可保育園でも、「小学校までに何を準備したらいいですか」と質問されることがあります。年長クラスの保護者会の際には、このようにお話しています。
小学生になると日々の連絡帳もなくなり、学校からの連絡も保育園ほどきめ細やかではなくなります。そのことで不安になることもあるかもしれません。小学校入学前に準備する必要があるとするなら、一番大切なのは「SOSを発信できる力」です。
例えば、学校で物を失くしたけど先生に言えない、どうしたらいいかわからないことがある……分からないこと、困ったことが起こったとき「教えて!助けて!」というSOSを出せれば、例えば万が一いじめなどに遭ったときにも対応することができます。焦らせたり急き立てたりと、親はついついプレッシャーを与えてしまいがちですが「困ったらSOSを出してもいいんだよ」と教えてあげてください。それはママ自身にも言えることです。上の子がいる先輩や同級生のママ友など、「教えて!助けて!」と言える人間関係を築いておくことも大切です。そして家庭こそ、絶大な安全基地。SOSを出してくれた時は「なんでそんなこともできないの!」と怒るのではなく「分からないことが分かったよ、助けられるよ」と伝えてあげてくださいね。
物理的には、自治体の子育てサポートシステムや、習い事を組み合わせるなどの方法も考えられるでしょう。また、先輩ママの体験談や具体的な解決方法などを聞いたり調べたり、時には行政やNPOの相談窓口を利用してもよいと思います。学童期のほんの一時期、思い詰めず親子で工夫しながら乗り切っていきたいですね。

学童児童の待機児童も増加

クラブ数、登録児童数及び利用できなかった時総数の推移

「小1の壁」問題を解決しようと、国も放課後児童クラブの整備などを急ピッチで進めていますが、待機児童が多いのが現状です。

教えてくれたのは… 

特定非営利法人 こども発達実践協議会 代表理事 河合清美さん
保育士歴25年。横浜市、東京都私立認可保育園長を歴任。保育の楽しさとともに、知識や技術を伝えるため、2016年NPO法人を設立。雑誌、新聞等への執筆やSNSでの子育て相談など、保育・子育てに関する情報発信の場でも活躍中。二児の母。
日本保育士研修センター

日本保育士研修センター

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もっと保育が好きになる場所。保育士の学びの環境を創ること"今保育業界に必要なこのテーマに私たちは挑んでいます。 『わたしが学べば、子どもたちに伝えられる』園長や主任を対象にしたリーダー教育や、子どもの発達を学ぶ保育実践など、明日からの保育に取り入れ、現場で役に立つ講座です。
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この記事を書いた人

まみたん編集部

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