不安も前向きに受けとめよう!小学校入学アドバイス|ともに育つ・育む
保育園児・幼稚園児から、いよいよ小学生に。 大きな環境の変化に、不安を覚えているママも多いと思います。 ママ・パパにとっても、子どもにとっても大きなライフイベントをどう迎えたらよいか、専門家の先生にお話を伺いました。
Q.小学校に入学。どんな環境の変化が?
保育園・幼稚園で、遊びをベースに比較的のびのびと自由な保育を受けていた世界とはずいぶん異なり、小学校では急に自由な行動を制止され、先生のお話をよく聞いて行儀よく授業を受けることや、集団生活の秩序が求められます。小学生になったばかりの子どもが、教室をうろついたり先生の話を無視したりすることを「小1プロブレム」と呼ぶこともありますが、切り替えがうまくできず、このようなことが起っても不思議ではありません。
Q.入学に向けて不安がつきません…。
たしかに、子どもの生活スタイルが一変するわけですから、親は心配の種がつきません。しかし、子どもは、未知へのチャレンジを一つずつたくましく乗り越えることで、自立するのです。もちろん、子どもが大きな事故にあわないように注意するなど配慮は必要ですが、あまり一喜一憂せず、子どもの歩みを長い目で見守ってあげるべきです。
親自身に不安があると子どももそれに影響されてしまいますから、自身の不安を解消するように努力することも大事です。不安の背後には、子どもが自分から遠ざかっていくことへの暗黙の拒否感があるかもしれませんが、これは子どもの自立なのだと受けとめて、応援する気持ちをもちましょう。
子どもが親の期待通りに動かないのも、子どもの自己主張、自立の表れという意味合いがあります。おおらかに受けとめてあげてください。学校の行き始めには子どもが拒否反応を示すこともあるかもしれませんが、いずれ時間が経てば子どもは新しい環境に慣れて元気に登校するようになるものです。子どもの可能性を信じてあげましょう。
Q.入学を不安がっている子どもに親ができることは?
◆小学校のことを具体的に説明する
小学校は未知の環境ですから、子どもが不安をもつのも当然です。その不安を取り除いてあげるには、小学校がどういう場なのかわかりやすく説明してあげ、心の準備を助けてあげるとよいでしょう。
◆楽しい場であると伝える
子どもの期待が膨らむように、学校がいかに友だちもたくさんいる楽しい場であるか、学びによりいろいろなことがわかることがいかに面白いかを伝え、親も入学を楽しみに待っていることを子どもに伝えるのも大事です。
◆自信をつけさせる
子どもには、不安だけではなく、自立に向けた冒険心や新しい世界への期待もあります。自分で自分のことを思うようにしたいというエネルギーをしぼませずに、新環境への挑戦にうまく活用できるといいと思います。そのために、おにいちゃんおねえちゃんになることをほめて自信をつけさせることが有効でしょう。
Q.小学校はまだまだ先。乳幼児からの心がけは?
子どもはプライドの高い生き物です。幼い子どもでも、自分のすることが認められると嬉しいし、否定されると情けなく悲しいのです。着脱衣や食事、トイレのトレーニングなどの基本的生活習慣も、親が頭ごなしに上から目線でしつけるのでなく、本人のやってみようとする意思を尊重し励ましてあげるようにしましょう。
自分でやってみてできるようになることは、子どもにとって大きな喜びであり、自信につながり、自発性が徐々に育ちます。何でも先回りしてやってあげるのが愛情ではなく、子どもを信頼し、まどろっこしくても子どもの主体性を尊重して見守ってあげることが大切です。
また、友だちは、子どもにとって社会化していくうえでの重要なパートナーです。幼いうちは、楽しく遊びながら、身体接触を通じて主張や我慢、リードしたり従ったりという体験をもたせ、仲間関係を育んであげてください。
知ってる?保育園・幼稚園のガイドライン
「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」では、幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」が方向づけられました。
・健康な心と体 | ・思考力の芽生え |
・自立心 | ・自然との関わり・生命尊重 |
・協同性 | ・数量・図形、文字等への関心・感覚 |
・道徳性・規範意識の芽生え | ・言葉による伝え合い |
・社会生活との関わり | ・豊かな感性と表現 |
厚生労働省「保育所保育指針」・文部科学省「幼稚園教育要領」より
教えてくれたのは…
NPO法人 保育:子育てアドバイザー協会理事長
根ケ山光一 さん
早稲田大学人間科学学術院教授。子どもの発達や親子関係を研究。当NPO法人では、多彩な講師陣による講習会を通じた人材養成とそれをふまえた資格認定を通じて、子育て支援の一翼を担う社会活動を行っている。講習会について関心のある方は下記URLで確認できる。保育:子育てアドバイザー協会