赤ちゃんが教えてくれる 「芸術（アート）」の力

「え？赤ちゃんに芸術？まだ未熟で、わからないでしょう!?」と疑問に思う人も多いかもしれませんね。最近の研究では、赤ちゃんは周囲の環境や他者に自ら関わりを持ち、アートを深く感じる力をもって生まれてくることがわかってきました。
　私たち「ベイビーシアタープロジェクト」は、全国各地で乳児のためのパフォーマンスを行っていますが、私自身この活動に参加し始めた頃は赤ちゃんに芸術を届けることには懐疑的でした。でもその疑問はすぐに払拭されました。何故なら赤ちゃんたちは、本当に素晴らしい観客だったのです！とにかく驚いたのは、その豊かな個性と感受性。じっと見つめている子の目の輝きは聡明で、手足をいっしょに動かしている子、泣いたりぐずったりする子やそっぽを向いている子が意外にもしっかりと耳を傾けてくれていたり……。一人ひとりが違う表現の仕方で、私たちのパフォーマンスに反応してくれるのです。「人間ってすごい！生まれたときからそれぞれちがう個性を持ち、豊かな感性が備わっているんだ！」。私は驚き感動しました。誰よりも、赤ちゃんたち自身が私たちに芸術の力を教えてくれたのです。

「芸術」で子育てに 〝魔法〟をかけよう

「芸術」と言っても、演劇、美術、音楽、映画、文芸……その領域は多彩です。なぜ人類は芸術を生み出すのでしょう？それは、食べたり、飲んだり、働いたりすることと同じように、生きる力を生み出す、大切なエネルギーの源であり、本能だからではないでしょうか。そして芸術がもたらす良い影響は、ママのお腹にいるときから始まっています。赤ちゃんは7ヶ月くらいになると、外界の音もしっかり聞こえています。ママが芸術に触れてリラックスして豊かな気持ちになると、赤ちゃんの心も安定し、出産に向けての絆が深まります。人は共感することで関係を深めていくのだと思うのです。

芸術が子育てに魔法をかける！

「ベイビーシアタープロジェクト」とは

「ベイビーシアター」は、1980年代にヨーロッパで起こった舞台芸術の一分野。日本でも2000年前後から全国の子ども劇場・おやこ劇場などを中心にその重要性に注目が高まり、児演協（日本児童・青少年演劇劇団協同組合）の呼びかけで2015年にプロジェクトが発足。アーティスト、プロデューサー、研究者たちが連携しながらたくさんの作品を生み出しています。ぜひ一度遊びに来てくださいね。
全国のベイビーシアターの公演情報は、検索→ベイビーシアタープロジェクト

子どもの文化芸術体験にはどんな効果があると思う？

芸術が子どもに与える良い効果とは？

全国18歳以上の3,000人への調査結果です。

子どもの文化芸術体験の効果

◆日本の文化を知り、国や地域に対する愛着を持つようになる 59.2%
◆美しさなどへの感性が育まれる　43.0%
◆他国の人々や文化への関心が高まる　39.4％
◆コミュニケーション能力が高まる 38.9%
◆他者の気持ちを理解したり思いやったりするようになる　37.1％
◆文化芸術活動を将来続けていくきっかけとなる　26.2％
◆学校生活における自信が向上する　20.0％
◆困難に直面したときの解決能力が向上する　17.1％
◆わからない　3.1％
◆特にない　2.6％
◆その他　0.2％

教えてくれたのは…　

日本児童･青少年演劇劇団協同組合
ベイビーシアタープロジェクト　あらたに葉子（歌子）さん
国立音楽大学声楽科卒業。劇団音楽座を経て、NHK教育テレビ「さわやか３組」の先生役でレギュラー出演。透明感のある歌声と“歌子さん”というキャラクターで『歌で愛を伝えよう』をテーマに活動中。ベイビーシアタープロジェクト