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しっかり対策! 子どもの熱中症|ともに育つ・育む

夏になり気温が上がると心配なのが熱中症。 なぜなるの? 予防できる方法は?そんな疑問をかかえるママのために、大阪母子医療センターの谷口昌志先生にお話を伺いました。

Q.子どもと大人の熱中症に 違いはあるの?

熱中症とは、医学的には「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態」の総称です。言い換えると、暑さのせいで体調が悪くなれば熱中症です。赤ちゃんや子どもは、
① 外気に触れる皮膚の面積が体格に比べて大人より大きい(体表面積が大きい)ため、外気の影響を受けやすい
②水分の必要量や熱生産が多い 
③発汗の能力が低いなど、熱中症になりやすい要素が揃っています。さらに、めまいや頭痛など詳しい症状を自分で言えないため、「熱でぐったりして動こうとしない」
など熱中症に関する症状が分かりにくい場合があります。その場合には「暑い環境にいた期間」と「脱水の程度」が熱中症の有無を判断する材料となります。尿の回数や口の中の乾燥具合などは脱水の良い指標ですので、元気な時から尿の回数をチェックしておきましょう。

Q.熱中症の予防法や、 対処法を教えて!

熱中症になる原因は、熱の産出と放散のバランスが崩れることで体温が著しく上昇し、発汗によって脱水症状になり、体内の水分や電解質のバランスが乱れるからです。そこで、日頃から心がけてほしい予防法と、基本的な対処法をお答えします。

◆予防法

「暑い環境にいないようにする」「頻繁に水分・電解質を摂る」の2点に尽きます。盲点となるのが、日差しにより地面が熱くなる夏の日には、大人より身長の低い子どもやベビーカーに乗っている乳幼児は、地面からの輻射熱の影響により非常に暑い環境にさらされている可能性があるということです。ベビーカーのレインカバーを日除けに使うことも、通気性を失わせるためお勧めできません。また、頻繁に摂取いただきたい水分は、糖分が多くナトリウムなど電解質が少ないスポーツドリンクよりも、特に小児には経口補水液が良いとされています。外出の際にぜひ携帯してください。

◆対処法

基本的な対処法としては、まずはクーラーのきいた部屋など涼しい環境に移動し、上着を脱がせ、扇風機やうちわなどであおぎつつ、可能なら霧吹きで全身に霧を浴びさせてください(気化熱によって熱を下げる目的)。同時に、経口補水液などの水分・電解質を十分量摂ってください。どうしても飲めない、もしくは飲んでしばらくしても症状が全く改善しない場合は点滴が必要な可能性があるため、救急外来受診を検討しましょう。

Q.屋内でも熱中症になるの?

炎天下で起こる労作性熱中症と異なり、暑い室内で熱がこもり生じる熱中症を非労作性熱中症と言います。意外ですが、室内で発生する非労作性熱中症の方が重症例が多く、高齢者とともに9歳以下の小児に多いという報告があります。特に4歳以下での熱中症全体の4割が、駐車場(車内)で起こります。暑くない日でも直射日光が当たる車内では、クーラーを切って5分で熱中症警戒レベル、10分を超えると危険レベルになるというデータや、少し窓を開けていても車内の温度上昇を防ぐことができない報告もあります。子どもが寝ているので車に…という優しさが悲惨な結果を招く可能性があるため、短時間でも車から出る時は子どもを残していかないように注意が必要です。

Q.そのほか気をつけることは?

子どもには十分な水分を摂らせているのに、お母さんがほぼ水分を摂取していないという状態が続くと、ご自身が熱中症になり、場合によっては入院が必要になってしまうことも。お母さんの気持ち同様に、子どももお母さんのことを大事に思っています。真夏の厳しい環境の中では、ご自身の体調も十分に気遣ってください。熱中症をしっかり予防して、楽しい夏をお過ごしくださいね。

教えてくれたのは… 

大阪母子医療センター集中治療科 診療主任 谷口 昌志 さん

重症小児を救う力を養うべく、小児科研修ののち救命救急センターを経て小児集中治療の世界へ。小児・救急・集中治療の3分野の専門医という異色の経歴を持つ。今年から新しい環境で苦闘しながらも、私生活では息子(1歳)の子育てに奮闘中。「当院集中治療室では、すべての重症小児の“最善”を目指して治療致します」

熱中症の症状と対応方法を教えて!

Ⅱ度以上の 症状は早めに 受診を!
症状 対応方法
Ⅰ度(軽症) ●めまい ●発汗 ●こむら返り 自宅対応
Ⅱ度(中等症) ●虚脱感 ●頭痛 ●吐き気 病院受診(場合によっては入院)
Ⅲ度(重症) ●意識状態の悪化 ●全身の臓器障害 入院(場合によっては集中治療室入院)
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この記事を書いた人

まみたん編集部

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