障がいをもつ子どもと保護者を支える「児童発達支援」について知ろう!|ともに育つ・育む
子育て中のママ・パパにとって、不安や悩みを相談できる施設は心強い味方。 障がいを持つ子どもやその可能性のある子どもなど、一人ひとりに寄り添う仕組み「児童発達支援」について、専門家の先生に聞いてみました。
Q.子どもの発達が気になる…そんな時、誰に相談すればいいの?
今まさに、目の前の子どもとの関わりや生活についての不安や悩みを抱えている保護者にとって、相談窓口との出会いはとても重要です。悩んだ時には一人で抱え込まず、まずはお住まいの自治体の窓口(保健センターや発達相談等)を訪ねてみてください。地域の情報の中から適切なサービスや社会資源を紹介してくれるはずです。自治体の窓口に相談することは気が引けるようならば、子育てひろばや児童館のスタッフに相談するのも1つです。より専門的な視点で相談されたい時には、主に行政が運営されている“児童発達支援センター”にご相談されることをお勧めします。児童発達支援センターでは相談や発達検査等を行いながら、お子さんの行動の背景を一緒に考えてくれます。また必要に応じて療育というお子さんへの直接支援を行う場合もありますが、この療育については児童発達支援センターに限らず、“児童発達支援事業所”と呼ばれる施設でも利用が可能です。しかし、利用にあたっては自治体から発行される『通所受給者証』の手続きが必要なため、すぐに利用を開始することが難しいのが難点と言えます。
Q.〝療育〟ってどんなことをしてくれるの?
療育とは、医療や保育、福祉の視点から、日常生活に必要なスキル(着脱、食事、排せつ等)を身につけたり、運動機能や言葉の育ち等、理解を育てたりしながら経験を積ませていくようなプログラムを示しています。児童発達支援センターのように行政の専門機関では、臨床心理士や言語聴覚士、作業療法士等の専門職がプログラムを行っていますが、民間の児童発達支援事業所のプログラムについては、私たち「ぽけっと」のように専門職がお子さんに合わせてプログラムをカスタマイズしていくような事業所もあれば、保育園のように集団で過ごす場や運動プログラムに特化したような特色のある事業所もあります。どのように事業所を選べばよいかわからない場合も自治体の窓口や児童発達支援センターに尋ねてみるのもいいですね。
Q.児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違いって?
児童発達支援センターでは、身体面や理解面など発達が気がかりな未就学のお子さんへの療育や機能訓練のような直接支援だけではなく、保護者の相談支援、お子さんの所属機関への訪問(保育所等訪問事業)、地域の方向けの講演会を含む地域支援も行っています。他にも、先ほどお話しました通所受給者証を発行するために必要な「サービス等利用計画」を作成してくれる相談支援事業も併設しています。また、保護者向けの講座として『ペアレントトレーニング』を行っている場合もあります。
一方で児童発達支援事業所は、療育を中心とする支援を行う施設ですので、2つにはサービスの大きな違いがあると言えます。
Q.保護者向けの講座 『ペアレントトレーニング』って何を学べるの?
ペアレントトレーニングはアメリカで生まれた行動療法の一つです。一般的なペアレントトレーニングではお子さんのやめてほしい行動に対し“無視”をしたり、望ましい行動を“褒める”ことを行います。しかし、この2つは意外と加減が難しく、うまく出来ないと感じられる保護者の方も多くいます。(実は私自身もうまく活用できなかった保護者の一人です。)その他にも私たち「ぽけっと」でも提供しているような、子どもや保護者自身の言動の背景を整理しながら、子どもだけではなく保護者自身もハッピーになることを目的としたペアレントトレーニングもあります。
子どもは十人十色と言うように、子どもの発達の仕方等もすべて十人十色です。悩んだ時には一人で頑張り過ぎずに子育て資源を活用しながら、お子さんとの関わりを楽しめるといいですね。
児童発達支援の現状
児童発達支援センター等の利用者数は年々増加している。
教えてくれたのは…
一般社団法人ぽけっと代表理事
社会福祉士 吉本舞美 さん
文京区の児童発達支援・放課後等デイサービス「発達支援ルーム ぽけっと」の施設管理者。療育事業の他、保護者向けのペアレントトレーニングやカウンセリング、保育園・幼稚園・小学校への巡回や研修、食育サイトへのコラムの執筆など、幅広い事業を展開。