事前の準備で安心! 「ママの復職」|ともに育つ・育む
育児休暇を終えて、いざ職場復帰! でも、子育ても仕事も不安でいっぱい……。 育児と仕事の両立に大切なことを 先輩ママでもある河合先生に伺いました。
毎日の生活が大きく変化する復職は期待と不安でもやもや
共働きやひとり親家庭が増加している現代。4月の保育園入園に合わせて、職場復帰を考えているお母さんも多いのではないでしょうか。また社会人として自分の力を活かして働いていけるという期待の一方、「仕事中に子どもに何かあったらどうしよう」「毎日ちゃんと保育園に行ってくれるかな」と、子育てと仕事の両立に不安を感じている人も多いと思います。
これまでは子育てが中心で家庭に閉じこもりがちでしたが、働いて社会に出れば、生活の流れは大きく変わります。復職後、子育てと仕事を上手に両立するためにも、事前に“復職準備”をしておくと安心です。
もしものときも慌てないために復職準備をしておこう
自分の気持ちを整理して問題を一つずつ解決しよう
まずは今の状況を整理するために、自分が不安に思っていることをすべてノートに書き出してみましょう。そして、その不安や問題を解決するためにはどんな方法があるのか、一つひとつ考えていきます。
●保育園の送り迎えに間に合うか不安
➡︎時短勤務は可能か?
➡︎夫婦で役割分担できないだろうか?
●子どもが体調不良になったら……
➡︎両親には頼れるか?
➡︎もしものときに頼れる民間のサービスや、利用できる制度はないか?
●職場に迷惑をかけたくない
➡︎いつからフルタイムに戻すのか、自分の計画を上司に相談しておこう
➡︎シフトの交代方法を確認しておこう
➡︎急な欠勤に備えて自分の仕事の進行状況を見える化しておこう
書き出すことで、自分が何に不安を感じていたのか、その不安に対してどんな対処法があるのかを整理でき、もやもやした気持ちをすっきりさせることができます。もしものときのためにも、解決策はいくつか探しておくと安心です。また、自分がこれからどんな働き方をしていきたいかも自ずと見えてくるため、将来設計も立てやすくなるでしょう。
子どもとの「基本的信頼感」をしっかりと築いておこう
働く環境について整理できたら、次に問題となってくるのが子どもとの向き合い方です。お母さんの姿が見えなくなると泣き出したり、後追いが激しくなったりすると、保育園に預けることが不安になってしまい、なかには罪悪感を覚えてしまう人もいます。しかし、子どもが母親を求めることは「愛着関係」がしっかりと結ばれている証拠であり、決して悪いことではありません。親子関係の次のステップとして、「愛着関係」を土台に「基本的信頼感」を育むトレーニングをしてみましょう。
日常の小さな関わりの中で、子どもから少し離れるときは「ママは○○に行ってくるね」と目を見て笑顔で丁寧に話します。そして、戻ってきたときは「戻ってきたよ。待っていてくれてありがとう」と自信を持ってたっぷり抱きしめてあげてください。このとき、子どもを被害者の立場にしてしまう「ごめんね」という言葉は厳禁です。
「行ってくるね」「戻ってきたよ」という言葉を意識的に使い、“ママは行っちゃうけど戻ってくる”という体験の積み重ねをすることで、子どもとの「基本的信頼感」が築かれていきます。
子育てと仕事を両立するために〝少しの手抜き〟を積極的に
復職しても1日が24時間であることは変わりません。できることとできないことがあるのは当然です。だからこそ、上手に手抜きをすることが大切です。夫と家事の分担をしたり、ベビーシッターを利用したり、頼れることは人に頼ってしまいましょう。
また、不安や悩みは誰かに話すことも重要です。「話して離す」というように、話してしまえばすっきりしてしまうこともたくさんあります。復職すれば、職場の同僚や保育士など、話し相手も増えます。ひとりで抱え込まずに、ときには思い切って人に甘えることも、自分を保つために必要なのです。
育児をサポートする制度を導入する企業が増加
育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度の導入状況(複数回答)
共働き家庭の増加に伴い、育児に協力的な企業も増加しています。
職場の制度を上手に活用しましょう!
教えてくれたのは…
特定非営利法人 こども発達実践協議会 代表理事 河合清美さん
保育士歴25年。横浜市、東京都私立認可保育園長を歴任。保育の楽しさとともに、知識や技術を伝えるため、2016年NPO法人を設立。雑誌、新聞等への執筆やSNSでの子育て相談など、保育・子育てに関する情報発信の場でも活躍中。二児の母。
日本保育士研修センター